去年の夏から始めたアルバイトで驚いたことがあります。
それは『社畜自慢をする若者』が多いことです。
「昨日、会社出たの23時過ぎちゃった。」
「土曜日出勤?もちろんできますよ。」
「今日は残業3時間できます。」
など、楽しそうな声で話す内容ではない会話をよく耳にしています。
毎日のように、彼らは笑顔で社畜っぷりを自慢をしているのです。
私は「給料に見合った分の仕事をして、定時になったら早く帰りたい!」と思っていて、周りの多くの人も同じような考えだと思っていました。
ですが、アルバイト先には「自分がどれだけ会社に長くいて、どれだけ尽くしているか」を嬉しそうに語る若者が多数いるのです。
素晴らしい志にも思えますが、彼らが社員でも契約社員でもなくアルバイトなので驚きしかありません。(むしろ、社員さんは会社の愚痴をアルバイトに聞かせているよ…)
彼らの給料は時給なので、残業分だけ収入が増え良いのかもしれませんが、将来を考えたら不安定すぎて怖くならないのかな?
なんて、彼らの親でもないのに考えてしまうのです。
最近は最低賃金も上がってきていますが、それでもアルバイトはアルバイト。
決して高給とは言えない時給で、3か月に1回の80時間内労働の制限がつき、何の保証もされない立場にいる彼らの心情をハッキリと理解することは難しいので、勝手に考えてみることにします。
アルバイト生活の将来を考えてみた
隣の席に座っているのは、このアルバイトを始めて2年目になる男性で32歳らしい。
「32年生きてきて~」という言葉が口癖で、よく自分の年齢を引き合いに出している。
彼は、自分の年齢をどういう思いで付け足しているのだろう?
私の職場では働く人の半数以上が20代と思われるので、「この中では大人です!」と言いたいのか、はたまた「20代の中にいても違和感がないから若く見えるってことだよね!?」と若さアピールなのか…。
様子を見ているとどちらとも取れそうだし、どちらでもない気もします。
何にせよ、仕事内容には一切関係がないし何の役にも立たない年齢アピールに違和感しか感じません。
年齢を言うのであれば、32歳でアルバイト2年目なことが気にかかります。
何か目的があって、あえてアルバイトの人もいると思いますが彼がそうかは分かりません。
ただ、他のスタッフとの会話内容で独身であることは分かりました。
前置きが長くなりましたが、32歳独身アルバイト2年目の彼の将来を考えてみます。
例えば、10年後もアルバイト生活を送っていたら?
一人暮らしや親と同居だったら、おそらく普通に暮らしていけるでしょう。
贅沢三昧な生活を送ることは難しいかもしれませんが、生きていくうえで問題ありません。
しかし、自身が病気に罹ったり親の介護が必要になったら?
病気で働けなくなった場合、休業補償があったとしても収入は減少するでしょう。
親の介護などで働ける時間が減ると、その分収入が少なくなるのでやはり自身の生活も大変になることが簡単に想像できます。
もし、素敵な人に出会い一緒になりたいと思ったら?
共働きで生活するなら大丈夫かもしれませんが、結婚し子供を育てることになると家族を養えるのか不安です。
女性がいくら「働きたい!」と言っても、妊娠・出産後は一時的に働くことができませんし、将来必要になる子供の学費などを考えると、アルバイトではお金の心配が付きまといそうです。
正社員を目指して転職活動を開始したら?
32歳の彼が今すぐに正社員を目指すのならば選択肢があると思いますが、年齢が上がれば上がるほど職業選択の幅が狭まっていきます。
仮に10年間アルバイト生活を送って40代から正社員を目指したとしたら、人材不足と騒がれている今ですらその道のりは難しいものになるでしょう。
私がアルバイトをしている会社は上場企業の地方支社で、業績も順調にみえます。
入社時に受けた研修では、『全員がアルバイトから始まり、業務内容によって契約社員・正社員になることも可能。』と説明がありました。
ですが、アルバイト2年目の彼はいまだ契約社員にもなっていない。
もしかしたら本人が希望していない可能性もありますが、正社員を目指しているのなら焦りが出てくるころだと想像できます。
コンプラにも厳しく休憩時間や残業などもキッチリ管理されているので、アルバイトのままでも生活はできますが、社員と同じように出勤・残業しているのに待遇には大きな差があることに不満が1ミリもないとは考えにくいのです。
彼が労働契約法の5年ルールを知らない場合、いつまでもアルバイトのまま働くことになってしまいそうですよね。
会社は利益を出さなくては存続できないので、コストカットは重要であると理解はしています。
そして、デスクワークの場合は人件費の負担が大きくなることも分かります。
なので、人件費を抑える為に社員よりもアルバイトを多く雇う方が効率が良いことも分かってはいるのですが、使い捨てのようなアルバイトの待遇にモヤっとしてしまうのです。
会社は法令を厳格に守っているので何かを言われる筋合いはないのでしょうけれど。
ルールを守っているからこそ彼らのようなアルバイトが大量に雇われ、未経験の私も職にありつけたのですが…。
10年後、間違いないのは人材不足
結局のところ、10年後の世界なんて誰にも分からないですよね。
ただし、日本の10年後は今よりも更に労働人口が減り、人材不足になるであろうことは間違いないでしょう。
さまざまな場面で、ロボット化・セルフ化されても人の手が必要な場面は多々あり、人手不足解消は難しい問題ですね。
そうなると、どんな人材でも重宝されます。
40代でも50代でも、健康ならば60代・70代も仕事には就けそうです。
更には、外国人労働者が増えていく可能性もありますね。
ただし、特に資格・スキルが必要のない仕事だと低賃金で長時間労働になりやすい傾向にあります。
そうならないためにも、仕事に役立つ資格を取得することが大切なんだと感じています。
さらに、男性と女性の給与を比較すると女性の方が低い傾向にあるので、武器になりえるスキルや資格の重要性は大きいですよね。
私は40歳になってからお金の勉強を始め、FPの資格を取得し今も別の資格取得に向けて勉強をしています。
「若いころに勉強しておけばよかった!」と後悔していますが、「いつでも今がはじめ時!」とこれからの自分が楽しみでもあります。
そう思うと将来に不安があったとしても、自分らしく生きることができるのなら、仕事はアルバイトでも正社員でも関係ないのかもしれませんね。
そもそも、今どき正社員にこだわる私が頭の固い老害なのかもしれません。
思えば、私は10年以上業務委託で働いていました。
20数年前、正社員として採用されたはずなのに雇用保険さえも払っていない会社もありました。
おそらく私は、これから正社員になる選択はしないでしょう。
自分はフリーランスのくせに、アルバイトをしている他人の将来の心配なんて「何様のつもりだ!?」という感じですね。すみません。
それに、彼はもしかしたら数社を掛け持ちしているスーパーアルバイトかもしれません。
そうだったとしたら、私の想像なんて及ばないくらい充実した毎日を過ごしているのかもしれませんよね。
ただ、3ヵ月に1回、月中旬に「今月は制限月だから、次の出勤は来月になります。」と話す顔が寂しそうに見えてしまうのです。
彼の10年後に不安しか感じませんが、赤の他人の私ができることは何もない。
ですので、勝手にそっと見守ることにします。